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コンサートパフォーマンス「プロメテウスの火」2016年5月20日

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Concert Performance “The Fire of Prometheus” on 20th of May


The Concert Performance “The Fire of Prometheus”

コンサートパフォーマンス「プロメテウスの火」

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(Photo: Anna Petri)

 

ギリシア神話世界の男神の1人、プロメテウス。ゼウスの反対を押し切り、天地創造の力を持つ「神の火」を盗んで、人類に与えるというタブーを犯した神である。ヒトはプロメテウスから火という恩恵を受け、文明とその進化を推し進めてきたが、同時にその火を使って、戦争と破壊を繰り返すという愚の骨頂に到った…。

その崇高なる輝ける焔の美、一方で全てを灰塵に帰すことが可能である危険な火。多くのクライアントを抱える心理学者(臨床心理士)で、またアーティストでもあるディアナ・Øと、音楽とパフォーマンスアートの融合を図る牧村英里子が、火の持つミステリアスな二面性を余すところなく表現し尽くすコンサートパフォーマンス、「プロメテウスの火」。光と闇、音楽と心理科学が織り成す2人の稀有なコラボレーションをどうぞ体験して頂きたく存じます。みなさまのご来場を心よりお待ち申し上げております!

プロメテウスの火

 

【Date and Time: 日時】
20th of May (Friday) 2016年5月20日(金)
Matine: 昼の部 14:00 (開場: 13:30)
Soirée: 夜の部 19:00 (開場: 18:30)
【Venue: 会場】
SATOM: 音楽ホール & ギャラリー里夢
神戸市灘区曽和町1-4-2-B1
Tel. 078-821-2140
【Artists: 出演】
Diana Ø Tøreløv Møller: ディアナ・Ø

(psychologist, video artist: 心理学者、ビデオアーティスト)
Eriko Makimura: 牧村英里子

(pianist, performer: ピアニスト、パフォーマー)

【Tickets: 入場料】
4,000円 (ドリンク、デザート付)
【チケットお問い合わせ】
mail: 77deadlysins77@gmail.com (牧村)
【Program: プログラム】
F. ショパン: 英雄ポロネーズ、ノクターン、ワルツ、エチュード「革命」
即興: 炎礼讃     他
(全プログラムは早急にアップデート致します。)

✳︎パフォーマンス後、デザートとドリンクを頂きながらのトークタイムを設けております。ディアナ・Øと牧村英里子のヒストリーを是非お楽しみ下さいませ。

 

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ディアナ・Ø

(Photo: Anna Petri)

 

ディアナ・Ø (心理学者、ビデオアーティスト)】

ディアナ・Øはデンマークの首都コペンハーゲン出身。コペンハーゲン大学で修士号を取得した心理学者(臨床心理士)。また、オーストラリア・シドニーのマッコーリー大学からはディプロマも授与された。修士号取得後、2006年から2008年、デンマーク王立病院 “Rigshospitalet”に勤務。

心理学者として活躍する一方、ディアナ ・Ø はアーティストとしても、徹底したプロフェッショナリズムとその無二の個性で広く認知されており、ビデオアーティスト、コンサートのキュレーター、またパフォーマーとして、ヨーロッパ各国で活動している。

デンマーク・コペンハーゲンのFatamorganaフォトインスティチュート、チェコ・プラハのフィルムスクールでも研鑽を積んだ彼女は、2012年、2013年には「CPH Pix映画祭」に招聘され、北欧で音楽界を牽引するシンガーソングライター、マリー・フィスカーとの音楽ビデオが上映された。

2012年、北欧で最も権威のあるベルゲンの国際映画祭では、音楽ビデオ作品 “Sycamore Feeling” (マリー・フィスカー & Trentemøller)がノミネートを果たす。

また、デンマークのフィルムインスティチュートの協賛を得て、 アーティスト、ヘレーネ・ニューマンとアートビデオを共同作成。

コンサートのキュレーターとしても多大な信を得ており、コペンハーゲンの王立博物館におけるオープニングパフォーマンスを始め、”Dome of Visions”においては、”Dusk till Dark”シリーズを企画し、それらのイヴェントは大変な人気を博した。

パフォーマーとしては、2012年から2015年まで、ヨーロッパで最も急進的かつ実験的なパフォーマンスグループ、”SIGNA”、”Sisters Academy”、”RESTURANG” 等での主要メンバーとして数々のパフォーマンスに携わる。

以上の経歴からも周知の通り、ディアナ・Øはサイコロジストとしての豊富な知識と経験を元に、人の持つ知覚的、多元的要素を芸術世界を通して認識させてゆくという、新しい方法論を展開している稀有なアーティストである。

現在、ベルリンとコペンハーゲンのクリニックで診療にあたると共に、前衛アーティストとしても精力的に活動している。

 

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牧村英里子

(Photo: Taeko Kasama)

 

牧村英里子 (ピア二スト、パフォーマー)】

兵庫県立長田高等学校卒業。

京都市立芸術大学音楽学部を首席卒業。京都音楽学部賞、京都音楽協会賞受賞。同大学大学院にて修士号取得。在学中、ABCオーディション合格。

その後ドイツへ渡り、ベルリン芸術大学入学。さらに、ハノーファー音楽大学のソロクラスにて研鑽を積む。同大学在学中、第2回室内楽コンクール(イタリア)デュオ部門優勝、ペンデレツキー国際コンクール(ポーランド)部門優勝、総合優勝。第2回ヨーロッパ室内楽コンクール(ドイツ)で優勝。聴衆賞も合わせて受賞。

また、Alban Bergカルテット創始者による、ヨーロッパ室内楽協会(ECMA)の会員試験に合格。ヨーロッパ各都市にてリサイタルを開催。

2010年、デンマークのH.C.アンデルセン縁の地、「Den Collinske Gaard」にてコンサートサロンのディレクターを務める。音楽とパフォーマンスアートを融合させた独自のアートフォーム、「Chamber Cabaret」を確立。

2013年から2015年にかけて、前衛パフォーマンスグループ、「Sisters Academy」のメンバーとなり、国連で開催された「TEDx Copenhagen」に参加。

2016年は、ギリシャでのアートフェスティバルにアーティストとして招聘される他、スウェーデンやデンマーク、マレーシアでもソロリサイタルの開催が予定されている。

現在、コンサートパフォーマンスシリーズ「七つの大罪」を日本とヨーロッパで展開中。2016年7月6日には、Vol.4「高慢編」、また2017年1月28日には、Vol.5「強欲編」を兵庫県立芸術文学センター神戸女学院小ホールにて開催予定。2016年11月にはデンマークにて、「FRÅSERI(飽食)」の4夜連続パフォーマンスが行われる。

また、2017年にはフィルムプロジェクトが開始される。

2016、2017年にはヨーロッパから多くの共演アーティストの来日が決定しており、日欧文化の架け橋となるべく、新しい形のアートフォームを共に生み出し続けている。

室内楽シリーズ第2回「赤の露西亜」

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This year in 2016, Yoshiko Ikemura (Vc.) and Eriko Makimura (Pf.) are celebrating the 20th anniversary of the establishment of our DUO! We are very delighted to play the gigantic Rachmaninoff ‘s sonata for cello and piano on 28th of May in Osaka, Japan!!! (We will update a complete program soon😊)

室内楽シリーズ第2弾「赤の露西亜(ロシア)」。黄昏(たそがれ)のロマノフ朝、そして帝政崩壊からソビエト誕生という激動の時代を生き抜いたロシア人の作曲家たちとその生涯に肉迫する、渾身のプログラム。今年で20周年を迎える池村佳子と牧村英里子のデュオリサイタルへのご来場を、心よりお待ち申し上げております。

【日時】
2016528日(土)
開演:18:30 (開場:18:00)
【場所】
モーツアルト・サロン
【チケット】
3,000円
【お申し込み】
06-6364-5836 (モーツアルト・サロン)
【メール】
miyata@kyodo-sekkei.com
【プログラム】
ラフマニノフ: チェロとピアノのためのソナタ Op.19 ト短調
ストラヴィンスキー: イタリア組曲 他

 

【池村佳子(チェロ)】

兵庫県出身。

第5回札幌ジュニアチェロコンクール優秀賞受賞。第4回全日本ビバホールチェロコンクール第3位入賞。
’99年、大阪中央ロータリークラブ創立15周年記念室内楽コンクールにおいて、弦楽四重奏でグランプリ受賞。
京都市立芸術大学卒業と同時に、音楽学部賞、京都音楽協会賞受賞。 在学中に、定期演奏会においてT.ザンデルリンク指揮、京都市立芸術大学音楽学部オーケストラと協演。大学院賞を得て京都市立芸術大学大学院研究科を修了。
’01年度バロックザール賞受賞。
チェロを川畑善夫、上塚憲一、上村昇、藤原真理の各氏に、室内楽を岸邉百百雄、W.Jahn各氏に師事。
これまでにイシハラリリックアンサンブル、いずみシンフォニエッタ大阪などに参加するほか、オーケストラの客演首席奏者としても度々演奏している。’09年まで兵庫県立西宮高等学校音楽科非常勤講師として後進の指導にあたる。’14年よりマレーシアに在住、同国での音楽活動を軌道に乗せると共に、日本にも随時帰国、両国で精力的に活動中。現在「四次元三重奏団」「After hours session」などのメンバーを務めるほか、各地でリサイタル開催。大阪樟蔭女子大学特別講師。

 

【牧村英里子(ピアノ)】

兵庫県立長田高等学校卒業。

京都市立芸術大学音楽学部を首席卒業。京都音楽学部賞、京都音楽協会賞受賞。同大学大学院にて修士号取得。在学中、ABCオーディション合格。

その後ドイツへ渡り、ベルリン芸術大学入学。さらに、ハノーファー音楽大学のソロクラスにて研鑽を積む。第2回室内楽コンクール(イタリア)デュオ部門優勝、ペンデレツキー国際コンクール(ポーランド)部門優勝、総合優勝。第2回ヨーロッパ室内楽コンクール(ドイツ)で優勝。聴衆賞も合わせて受賞。

また、Alban Bergカルテットによる、ヨーロッパ室内楽協会(ECMA)の会員試験に合格。ヨーロッパ各都市にてリサイタルを開催。

2010年、デンマークのH.C.アンデルセン縁の地、「Den Collinske Gaard」にてコンサートサロンのディレクターを務める。

2013年から2015年にかけて、前衛パフォーマンスグループ、「Sisters Academy」のメンバーとして北欧諸国でパフォーマンスを行う。

2016年はギリシャでのアートフェスティバルに招待される他、スウェーデンやデンマーク、マレーシアでもソロリサイタルに招待されている。

現在、コンサートパフォーマンスシリーズ「七つの大罪」を日本とヨーロッパで展開中。2016年7月6日、Vol.4「高慢編」を兵庫県立芸術文学センター神戸女学院小ホールにて開催予定。11月にはデンマークにて、「FRÅSERI(飽食)」を4夜連続のパフォーマンスが行われる。

 

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「七つの大罪」Vol.3 嫉妬編 プログラムノート其の1

F. ショパン: ノクターン第8番 変ニ長調 Op.27-2

1837年7月7日、イギリス旅行に対するショパンの査証(ビザ) が下りた。

その査証を見るともなしに眺めながら、ショパンは額にかかる前髪を物憂げに搔きあげて、3度ほど力のない空咳をした。

年齢: 26歳、身長: 170cm、髪: ブロンド、額: ノーマル、眉毛: ブロンド、瞳: 灰青色、鼻: ノーマル、髭: ブロンド、顎: 丸型、顔: 卵型、肌: 白色

付け加えて言うなら、体重は45kgであった。

他人に自分はこう映るのか、とショパンは自嘲して笑った。この顔が卵型とは!

そして、これだけの身体的特徴を問うておきながら、健康状態についての質問がないのも笑止に耐えなかった。

 

彼の家系は当時の死病である肺結核に取り憑かれていた。ショパンが愛してやまなかった妹のエミリアも14歳の幼さでその病に命を奪われていたし、ショパン自身はその病に罹っていることを断固認めようとしなかったが、絶え間ない空咳は止めようがなかった。

ショパンは健康を羨んだ。もっと正確に言えば、健康な人々を妬んだ。例えば、パリで自分と音楽家としての人気を二分している1歳歳下のフランツ・リストの強靭な肉体と体力を。

ショパンがこれから9年の長きに渡って愛憎の関係を持つことになるジョルジュ・サンド夫人も頑健であった。彼女はショパンより7歳も年長であるにも関わらず、彼の方が先に死ぬことを確実に予期してよくこう囁いた。

「貴方が死ぬ時は、私の腕の中よ」

サンド夫人がこう言いながら彼の額に唇を押し付ける時、ショパンはほとんど歓喜と呼んでよいセンセーションに襲われた。彼女のまろやかな母性そのものの腕の中で死ぬために生まれてきたのだと、恍惚に浸るときが何よりの幸福であった。

ジョルジュ・サンドが予期した通り、彼は1849年、39歳の若さでこの世から去ることになる。しかし、死に場所は彼女が固く約束した腕の中ではなく、パリの自宅のベッドの中であった。

サンド夫人の姿は臨終の席にはなかった。近しい友人たちが涙を堪えながら彼の周りを囲んでいた。

「あれほど強く約束したのに!」

激しく喀血しながら、ショパンはベッドの中でのたうった。

意識は明瞭であった。自分の命は風前の灯火であることも分かっていた。この忌むべき死病に取り憑かれた短い命。健康に焦がれ続けた日々。

しかし。

彼はゴボゴボと血を吐きながら思った。我が勇壮の作品たちは、生き続けるであろう。例えば祖国ポーランドの誇りそのものである英雄ポロネーズ。ピアノソナタ第3番。そして、東洋の真珠玉の如く崇高な珠光を放つ、プレリュード、ワルツ。ああ、何にも増して、ノクターン。ノクターンとは「夜想曲」の意味である。夜を想う曲…。

あの、余人にはなせぬ強烈な個性を放つ作品群を書き上げたことが、サンド夫人のように自分に不実であった人や、呪われた病に対する復讐の完遂であるように思われた。

オーロール!

ショパンは胸の中でサンド夫人の名を絶叫した。自分が死にかけている一方で、彼女は今もどこかで情熱を周囲に撒き散らしながら生き生き暮らしていることが堪らなく妬ましかった。

オーロール!!

今度は声に出して、彼女の名前を絶叫しようとした。その瞬間、この紙のようにやせ衰えた身体の一体どこに、と彼の友人たちが恐怖するほど大量の血が喉から溢れた。チャルトリスカ公爵夫人がその血を何枚ものタオルで拭った。

 

この大喀血後は、彼はもう何も感じなくなった。しかし意識はまだあった。ポトツカ夫人に変ニ長調の夜想曲を弾いて欲しいと頼みたかったが、声が出なかった。

 

午前2時。喀血の海の中、人間は夜に生を得て、また夜に死にゆくのだ、何故だろうと彼は想った。そうして、部屋の片隅でジッと「その時」を待っていた死神がゆっくりとベッドに近づいてくるのを見ると、自らその冷たい手に絡め取られていった。

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