Making “Masochism Tango”

Ok, now we have two and a half hours till the doors open…

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The sadistic cakes are safely arrived (All handmade by Madame S and mademoiselle).

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Voilà!!

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The venue setting ready.

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Make-up.

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My girls dressing up with Elizabethan collar.

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My costume today: c-minor Kimono Dress.

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Rehearsal and rehearsal and rehearsal…

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Checking the piano strings.

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My beautiful understudy –  just in case 😉

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Still 10 minutes left.

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Staff waiting for doors open.

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1 minute before the doors open…

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Welcome to “Masochism Tango”!!!!

Piano Recital “Masochism Tango” on 11.11.2012

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Piano Recital Masochism Tango”

Date&Time: 11.11.2012 (Sunday)   at 16:00 (Doors: 15:30)

Place: Literaturhaus: Møllegade7,  2200  København N

Petit Four designed by Madame S will be served!


PROGRAM

Introduction  1′

F. Liszt

Nuages Gris  3′

 

S. Barber

Excursions  4′

Hesitation Tango  4′

 

F. Chopin

Waltz Op.69 No.2 b minor  4′

Waltz KK IVa Nr. 15 e minor  4′

Etude Op.10, Nr.3 E major “Farewell”  4′

 

G. Ligeti

Musica Riccercata   3′

 

S. Prokofiev

The Dance of The Knights from Romeo and Juliet  5′

 

S. Rachmaninov

Prelude Op. 23-5 g minor   4′

 

J, Cage

Bacchanale for Prepared Piano  8′

A Room  2′

 

E. Makimura

Variations on A Theme of “A Ringtone”   12′

 

M. Ravel

Menuette Antique   4′

 

Manuel de Falla

Spanish Dance  4′

R. Shchedrin

Quadrille from the Opera “Not Love Alone” 5′

A la Albeniz  4′

 

(Program can be changed.)


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aok.dk: http://www.aok.dk/natteliv/eriko-makimura-masochism-tango


(Special thanks to my dear friends T&T. Kasama!)


Program Note for Piano Recital “Masochism Tango” (2nd half)

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John Cage

Bacchanale for Prepared Piano      8′

Johnは恋人のMを深く愛していたので、彼の要求には全て素直に従った。

Mは次第につけあがり、どんどん傲慢になり、やがて手が付けられないほどになった。

JohnはしかしMを盲目的に愛し続けた。

Mは冷酷の道をひた走った。

Johnの目の前でも平気で他の男と寝た。

ある日、いつものように衣服を全て脱いだMがJohnに囁くように命令した。ピアノ線の間に釘を詰め込んでおいで、と。

ついでにボルトやナットやプラスティックもね。そうしておいて何か弾くんだ、昨夜僕が寝た若い男のために。

Johnは逡巡し、躊躇した。

しかし、Mの眼に宿る猟奇的な朱色の輝きが彼に否を言わせなかった。

結局JohnはMの言うままピアノに向かい、ありとあらゆるガラクタをピアノ線に詰め込み始めた。

自分の墓石に自ら死亡年月日を彫り込んでいる心地がした。

こうして彼は、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、ブラームス、そしてバッハをも殺戮することに成功したのである。

1940年はこうして暮れた。

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A Room  2′

男には非常に美しい妻がいた。

その妻は、名人が彫った弥勒菩薩のような優しさと妖しさと冷たさのある顔をしている。

頰骨が高く、鼻筋も男のそれのようにしっかりしているが、上唇が丸く捲(まく)れているので、全体的には非常に女らしい印象を人に与える。

二重の目尻が彫刻刀で彫り込んだかのようにぐっと切れ上がっており、その上に弓なりの眉が長く伸びている。

普段は薄茶色のその眼は、太陽の下では琥珀のように黄色がかって見えて、まるで日本画家が仏陀の絵の両眼に、最後の仕上げとして紙の裏から注意深く金泥を施したような、そんな虹彩を帯びるのだった。

髪は漆黒で、肌はこっくりした蜜色をしている。

彼女に一体どれだけの民族の血が混じっているのか、彼女自身も知らなかった。

夫が、じゃあと言って家を出ると、その美しい妻は広大なアパートに一人ぽつねんと取り残された。

暫くすると彼女はベッドから手を伸ばし、サイドテーブルのデキャンタとグラスを掴み、自分の眼と同じ色の液体を二杯立て続けに飲み干した。

夫は三日間は帰らぬらしい。

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Eriko Makimura

Variations on A Theme of “A Ringtone”   12′

自分の恋人が来ているシャツの柄が或る日を境に我慢ならなくなるように、起居する街の醜悪さにこれ以上どうしても耐えきれなくなる時がある。

あらゆる建物との調和を拒むオペラハウス、ミニマリスティックを追求し過ぎて却って息苦しいほどの主張に満ちたリビング、崩壊するロジック、バスの配色、Øの発音、おそろいの携帯の着信音・・・。

完璧な造形美の象徴としての金閣寺は(三島由紀夫によれば)それが消滅することでその美を完遂する運命にあったので、若い寺僧によって放火され、炎上してしまった。

ならば、もともと醜悪極まるもの、携帯の着信音などは、凡才の手で滑稽なほどのその醜悪を思い切りデフォルメして嗤(わら)うほかないではないか。

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Maurice Ravel

Menuet Antique   4′

世間はルクレツィアと兄のチェーザレの関係についていろいろ取り沙汰しているようだが、もしその関係というのが性交の有無を意味するのならそれは全く事実無根の噂に過ぎない。

ただ、二人は性交よりも何倍も罪深いことをしてしまっただけなのだ。

ところで、ルクレツィアはメヌエットを聴くのが好きだ。

メヌエットは彼女に深い安心感を与えてくれる。

それは喩えて言うなら、鉄の下着を履かされ、カチリと鍵をかけられた瞬間に感じるのと同質の安心感である。

本能は今や完全に封された。

血の気の全く通わぬ白蝋の頬に、思わず笑みが溢(こぼ)れた。

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Manuel de Falla

Spanish Dance  4′

『はかなき人生』などと自分のオペラに名付けたManuel de Fallaという作曲家は、案外詰まらない男だったのだと思う。

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Program Note for Piano Recital “Masochism Tango” (1st half)

・Introduction  1′

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・F. Liszt

Nuages Gris  3′

纏足(てんそく)を施された足というのは異形の美の極みとされる。

10cmに満たない小さな纏足は特に美しく官能的であるとされ、『三寸金蓮』と呼ばれて唐の昔から清朝まで、男たちによって陶然と愛でられてきた。

纏足の女性はうまく歩けないので、ゆらゆらと秋桜のように頼りなげに揺れながら室内を移動した。

閨房で自分の妻や愛人の纏足を愛撫することは、男がその女を完全に支配下に納めたという意味である。

そして女にとって纏足に触れられるというのは、裸体を見られるよりずっと恥ずかしい。

纏足を巻く布を男がはらはらと解き始めると、女は羞恥に息も絶え絶えとなり、男は法悦のあまり脳髄が溶解して毛穴からだらだらと溶けて流れ出るのを感じる。

このまま自分の脳髄と汗にまみれて溺れ死んでもかまわないとさえ男は思う。

Cathrine Raben Davidsen - Bad Luck, 2008

・S. Barber

Excursions  4′

ほんの数日のつもりで出た旅なのに、もう2世紀近くも彷徨している。

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Hesitation Tango 4′

昨夜、バルで安物のウィスキーをしこたま飲んだ後、安宿に帰る途中でのこと。

前を歩く女の脚の美しさを視界の端が捕らえた瞬間、ただでさえ酒毒に冒された理性は脆くもあっけなく瓦解した。

一晩16ユーロの部屋に強引に連れ込んで、ハイヒールを乱暴に脱がせ、ギシギシ嫌な音をたてる蚕棚のような寝台に女を押し倒す。

しかし、いくら酔っていたとはいえ、スカートをはぎ取ってその脚を開くまで、女が実は男であることに気づかなかったのは全くの迂闊であった。

すっかり酔いも醒め、下着一枚で窓枠に腰掛けて月を見ながら煙草を吸っていると、件(くだん)の女だか男だかが床から起き上がる気配があった。

立ち上がって暫くじっとしているようだったが、やがて彼は静かに踊り始めた。

青ざめた月光が照らす中、踊り続けるその姿には倒錯的な美しさがあるように思えた。

まだこめかみの辺りにいじましく酔いが張りついているのかも知れぬ。

映画『気狂(きぐる)いピエロ』の主人公の名前がどうしても思い出せない。

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・F. Chopin

Waltz Op.69 No.2 b minor

Waltz KK IVa Nr. 15 e minor

Etude Op.10, Nr.3 E major “Farewell”   11′

ショパンのような作曲家とは、本当は20代半ばあたりで訣別すべきだったのだ。

アンビヴァレンツな惑いを見せる自分の心から目を逸らす。

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・G. Ligeti

Musica Riccercata   3′

「最近、夫がもっと家計を引き締めろとうるさく言いますの」

「まあ、煩わしいこと」

「宮廷に出入りする身としては、いつも同じ衣装というわけにはいきませんでしょう?」

「その通りですわ」

「理解がない夫を持つと気苦労が絶えませんことね」

「本当に。お察し申し上げます」

「・・・どうにかならないものかしら?」

「砒素でよければ宅にたんまりとありますけれど」

「あらそれは素敵。今度のお茶会にお持ち下さる?」

「勿論ですとも。お役に立てて光栄ですわ」

Cathrine Raben Davidsen - The Fortune Tellers, 2008

・S. Prokofiev

The Dance of The Knights from Romeo and Juliet  5′

ロミオもジュリエットも平凡な人型の典型である。

だからシェイクスピアは、両家を対立させて困難な状況をお膳立てして、せめて悲劇の体裁を整えたのである。

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・S. Rachmaninov

Prelude Op. 23-5 g minor   4′

19世紀帝政ロシア時代、青年貴族たちの間には『メランコリア』という名の伝染病が蔓延していた。

良家に育った箱入りの青年たちは、ある年齢に達すると決まって人妻に恋に落ち、その女性の名前は判で押したようにみなアンナ・カレーニナといった。

アレクセイもセルゲイもミハルもみなアンナ・カレーニナという名の人妻に溺れていった。

アンナの夫は名誉のため青年たちに決闘を申し込み、青年たちは決闘そのものより、アンナに書き遺す恋文の冒頭が思い浮かばぬことに懊悩し、苦渋の眠れぬ夜を過ごした。

やっと気の利いた文句が閃くと狂喜し、フランスからの舶来の美しいレターペーパーに、綴りに気をつけながら慎重にそれを書きつけた。

涙のシミもバランスに神経を配りながらところどころにつけた。

どうしたら涙で美しくインクを滲ませられるかの研究が進み、涙の成分が科学的に解明されていった。

国産の紙が練習用として何枚も消費され、おかげでロシアは慢性の紙不足に陥り、紙幣の印刷にも事欠くようになり、国内経済の均衡が急激に崩れ始めた。

紙節約令が皇帝の名のもと何度も発令されたが、さほど効果はなかった。

一方で、涙の方は青年たちが無尽蔵に貯蓄していたので特に何の問題も起きなかった。

さて、決闘が何らかの理由で未遂に終わり数年経つと、青年たちは次々に若い娘と結婚していった。

写真の中の彼らは本当に幸せそうで、花嫁の細い胴は軍服姿の花婿の力強い腕に搦め取られていた。

その頃、アンナはどうしたのか。

曾てコルセットで締め上げられた53cmのウェストは、ここ数年でcmからmへの劇的な単位の変貌を辿らずにはいられなかったが、アンナは幸せだった。

『メランコリア』とは、多感な青年貴族たちの脳の前頭葉に描き出される一過性の幻影であることを、彼女はよく知っていたのである。

アンナはまた物理的な快楽を純粋に楽しめる希有の女性で、青年たちのメランコリアを餌として喰み尽くす獏(ばく)のような生き物でもあったのだ。

記憶の中に棲む女はいつもとても美しい。

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To be continued…

All artwork: Catherine Raben Davidsen

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