室内楽シリーズ第2回「赤の露西亜」

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This year in 2016, Yoshiko Ikemura (Vc.) and Eriko Makimura (Pf.) are celebrating the 20th anniversary of the establishment of our DUO! We are very delighted to play the gigantic Rachmaninoff ‘s sonata for cello and piano on 28th of May in Osaka, Japan!!! (We will update a complete program soon😊)

室内楽シリーズ第2弾「赤の露西亜(ロシア)」。黄昏(たそがれ)のロマノフ朝、そして帝政崩壊からソビエト誕生という激動の時代を生き抜いたロシア人の作曲家たちとその生涯に肉迫する、渾身のプログラム。今年で20周年を迎える池村佳子と牧村英里子のデュオリサイタルへのご来場を、心よりお待ち申し上げております。

【日時】
2016528日(土)
開演:18:30 (開場:18:00)
【場所】
モーツアルト・サロン
【チケット】
3,000円
【お申し込み】
06-6364-5836 (モーツアルト・サロン)
【メール】
miyata@kyodo-sekkei.com
【プログラム】
ラフマニノフ: チェロとピアノのためのソナタ Op.19 ト短調
ストラヴィンスキー: イタリア組曲 他

 

【池村佳子(チェロ)】

兵庫県出身。

第5回札幌ジュニアチェロコンクール優秀賞受賞。第4回全日本ビバホールチェロコンクール第3位入賞。
’99年、大阪中央ロータリークラブ創立15周年記念室内楽コンクールにおいて、弦楽四重奏でグランプリ受賞。
京都市立芸術大学卒業と同時に、音楽学部賞、京都音楽協会賞受賞。 在学中に、定期演奏会においてT.ザンデルリンク指揮、京都市立芸術大学音楽学部オーケストラと協演。大学院賞を得て京都市立芸術大学大学院研究科を修了。
’01年度バロックザール賞受賞。
チェロを川畑善夫、上塚憲一、上村昇、藤原真理の各氏に、室内楽を岸邉百百雄、W.Jahn各氏に師事。
これまでにイシハラリリックアンサンブル、いずみシンフォニエッタ大阪などに参加するほか、オーケストラの客演首席奏者としても度々演奏している。’09年まで兵庫県立西宮高等学校音楽科非常勤講師として後進の指導にあたる。’14年よりマレーシアに在住、同国での音楽活動を軌道に乗せると共に、日本にも随時帰国、両国で精力的に活動中。現在「四次元三重奏団」「After hours session」などのメンバーを務めるほか、各地でリサイタル開催。大阪樟蔭女子大学特別講師。

 

【牧村英里子(ピアノ)】

兵庫県立長田高等学校卒業。

京都市立芸術大学音楽学部を首席卒業。京都音楽学部賞、京都音楽協会賞受賞。同大学大学院にて修士号取得。在学中、ABCオーディション合格。

その後ドイツへ渡り、ベルリン芸術大学入学。さらに、ハノーファー音楽大学のソロクラスにて研鑽を積む。第2回室内楽コンクール(イタリア)デュオ部門優勝、ペンデレツキー国際コンクール(ポーランド)部門優勝、総合優勝。第2回ヨーロッパ室内楽コンクール(ドイツ)で優勝。聴衆賞も合わせて受賞。

また、Alban Bergカルテットによる、ヨーロッパ室内楽協会(ECMA)の会員試験に合格。ヨーロッパ各都市にてリサイタルを開催。

2010年、デンマークのH.C.アンデルセン縁の地、「Den Collinske Gaard」にてコンサートサロンのディレクターを務める。

2013年から2015年にかけて、前衛パフォーマンスグループ、「Sisters Academy」のメンバーとして北欧諸国でパフォーマンスを行う。

2016年はギリシャでのアートフェスティバルに招待される他、スウェーデンやデンマーク、マレーシアでもソロリサイタルに招待されている。

現在、コンサートパフォーマンスシリーズ「七つの大罪」を日本とヨーロッパで展開中。2016年7月6日、Vol.4「高慢編」を兵庫県立芸術文学センター神戸女学院小ホールにて開催予定。11月にはデンマークにて、「FRÅSERI(飽食)」を4夜連続のパフォーマンスが行われる。

 

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「七つの大罪」Vol.3 嫉妬編 プログラムノート其の2

L.v. ベートーヴェン: ピアノソナタ第23番 ヘ短調 Op.57「熱情」

 

ヨハン・ヴァン・ベートーヴェンすなわち楽聖ルートヴィヒの父はアルコール依存性であった。ヨハンはアルコールがもたらす魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界に迷い込んで、ついには宮廷の職を失うまでに到った。

 

アルコール依存性の中で最もよく知られた症状は家庭内暴力である。父ベートーヴェンは妻や息子たちをことある毎に殴った。理由はなんでもよかった。妻の作る夕食のジャガイモが固茹ですぎる、若しくは柔らかすぎる、外で犬が吠えた、息子ルートヴィヒのピアノの練習量が少ない…。

 

彼の暴力に、家族は恐懼(きょうく)した。何がきっかけでスウィッチが入るか分からないので、予備の仕様もなかった。

 

アルコールで頭が侵されているわりに抜け目のない父は、早期の段階からルートヴィヒの天才性を見抜き、アルコール同様、彼の才能に猛烈に依存し始めた。妻が亡くなってからは、息子たちに対する暴力は手をつけられないほど激しさを増した。

 

ルートヴィヒは父を憎んだ。その憎しみは憎悪よりさらに強い感情で、既存の形容詞では表しきれないほど憎しみだった。少なくとも、ドイツ語の辞書には載っていない類いの強烈な感情。

 

否、あった。

 

それは、おそらく「殺意」である。

 

ルートヴィヒは、一刻も早い父の死をただひたすら願った。馬車に跳ねられてもいい、川に落ちて溺死してもいい、肝臓が腫れ上がってひどい黄疸に見舞われて、のた打ちながらの病死もいい。とにかく、目の前から消えてなくなって欲しかった。

 

私も、スウィッチが入って暴れ狂う近親者を一度ならず相手したことがあるが、ある時は持っていたアイスピックで刺してやろうかと衝動に駆られたことがある。怖ろしい話に聞こえるが、彼岸を渡った者の相手をするには、こちらもまた夜叉にならざるを得ないほど壮絶な感情のうねりを経験することになる。

 

不出来な2人の弟たちにも憎しみを感じた。毎朝、ルートヴィヒはかっきり60粒のコーヒー豆を数えて、コーヒーミルの中に放り込む。それをガリガリ挽きながら、彼は歯軋りした。コーヒーを挽く音と歯軋り、そして長らく続く耐え難いほどの耳鳴りが狭苦しい部屋で不協和音を奏で続けた。

 

耳の不調はやがて難聴へと悪化し、ついには音の無い絶望の世界へとルートヴィヒを突き落とした。それに加えて、慢性肝炎、黄疸、大腸炎、皮膚病、リウマチ熱が絶えず襲いかかった。

 

彼は無音の底にあって、次第に死を願うようになった。「音楽家」から音を引くと「楽家(楽しい家」が残るかと言えば、全くそんなことはなく、むしろ逆であった。幸い、父はもう死んでくれていたが、不出来な弟はのうのうと生きていて、ルートヴィヒを悩ませ続けた。

 

幸せな家庭への羨望。

 

ただただ平凡で健全な家族が欲しかっただけなのだ。そして、聴力。殆どの者たちが持っているこの2つを何故自分は与えられなかったのか。

 

自ら命を絶つ決意をしたルートヴィヒは1802年、遺書を認める。

 

ハイリゲンシュタットの遺書。

 

胆汁が上がってくるのを飲み込みながら、ルートヴィヒはペンを走らせつつ思わず慟哭した。自分の慟哭の声さえ聴こえないことに更に絶望した。

 

… これはベートーヴェンがまだ、交響曲第5番「運命」や、クロイツェルソナタ、熱情ソナタ、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」を書く前の話である。一度死にかけた男は、その苦悩、恨み辛みを爆発的な芸術の力に昇華させ、おそらく彼を超える音楽家はこの先も存在するまいという唯一無二の楽聖となった。

 

1827年3月26日永眠。満56歳。

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「七つの大罪」Vol.3 嫉妬編 プログラムノート其の1

F. ショパン: ノクターン第8番 変ニ長調 Op.27-2

1837年7月7日、イギリス旅行に対するショパンの査証(ビザ) が下りた。

その査証を見るともなしに眺めながら、ショパンは額にかかる前髪を物憂げに搔きあげて、3度ほど力のない空咳をした。

年齢: 26歳、身長: 170cm、髪: ブロンド、額: ノーマル、眉毛: ブロンド、瞳: 灰青色、鼻: ノーマル、髭: ブロンド、顎: 丸型、顔: 卵型、肌: 白色

付け加えて言うなら、体重は45kgであった。

他人に自分はこう映るのか、とショパンは自嘲して笑った。この顔が卵型とは!

そして、これだけの身体的特徴を問うておきながら、健康状態についての質問がないのも笑止に耐えなかった。

 

彼の家系は当時の死病である肺結核に取り憑かれていた。ショパンが愛してやまなかった妹のエミリアも14歳の幼さでその病に命を奪われていたし、ショパン自身はその病に罹っていることを断固認めようとしなかったが、絶え間ない空咳は止めようがなかった。

ショパンは健康を羨んだ。もっと正確に言えば、健康な人々を妬んだ。例えば、パリで自分と音楽家としての人気を二分している1歳歳下のフランツ・リストの強靭な肉体と体力を。

ショパンがこれから9年の長きに渡って愛憎の関係を持つことになるジョルジュ・サンド夫人も頑健であった。彼女はショパンより7歳も年長であるにも関わらず、彼の方が先に死ぬことを確実に予期してよくこう囁いた。

「貴方が死ぬ時は、私の腕の中よ」

サンド夫人がこう言いながら彼の額に唇を押し付ける時、ショパンはほとんど歓喜と呼んでよいセンセーションに襲われた。彼女のまろやかな母性そのものの腕の中で死ぬために生まれてきたのだと、恍惚に浸るときが何よりの幸福であった。

ジョルジュ・サンドが予期した通り、彼は1849年、39歳の若さでこの世から去ることになる。しかし、死に場所は彼女が固く約束した腕の中ではなく、パリの自宅のベッドの中であった。

サンド夫人の姿は臨終の席にはなかった。近しい友人たちが涙を堪えながら彼の周りを囲んでいた。

「あれほど強く約束したのに!」

激しく喀血しながら、ショパンはベッドの中でのたうった。

意識は明瞭であった。自分の命は風前の灯火であることも分かっていた。この忌むべき死病に取り憑かれた短い命。健康に焦がれ続けた日々。

しかし。

彼はゴボゴボと血を吐きながら思った。我が勇壮の作品たちは、生き続けるであろう。例えば祖国ポーランドの誇りそのものである英雄ポロネーズ。ピアノソナタ第3番。そして、東洋の真珠玉の如く崇高な珠光を放つ、プレリュード、ワルツ。ああ、何にも増して、ノクターン。ノクターンとは「夜想曲」の意味である。夜を想う曲…。

あの、余人にはなせぬ強烈な個性を放つ作品群を書き上げたことが、サンド夫人のように自分に不実であった人や、呪われた病に対する復讐の完遂であるように思われた。

オーロール!

ショパンは胸の中でサンド夫人の名を絶叫した。自分が死にかけている一方で、彼女は今もどこかで情熱を周囲に撒き散らしながら生き生き暮らしていることが堪らなく妬ましかった。

オーロール!!

今度は声に出して、彼女の名前を絶叫しようとした。その瞬間、この紙のようにやせ衰えた身体の一体どこに、と彼の友人たちが恐怖するほど大量の血が喉から溢れた。チャルトリスカ公爵夫人がその血を何枚ものタオルで拭った。

 

この大喀血後は、彼はもう何も感じなくなった。しかし意識はまだあった。ポトツカ夫人に変ニ長調の夜想曲を弾いて欲しいと頼みたかったが、声が出なかった。

 

午前2時。喀血の海の中、人間は夜に生を得て、また夜に死にゆくのだ、何故だろうと彼は想った。そうして、部屋の片隅でジッと「その時」を待っていた死神がゆっくりとベッドに近づいてくるのを見ると、自らその冷たい手に絡め取られていった。

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“Seven Deadly Sins” Vol.3 ENVY on 30.01.2016

Concert performance series “Seven Deadly Sins” Vol.3 ENVY will take place on 30.01.2016 in Kobe, Japan!

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コンサートパフォーマンスシリーズ「七つの大罪」Vol.3 嫉妬編が2016年1月30日(土)、18:00より開催されます。「男女男」と書いて、

嬲(なぶ)る….。嬲り嬲られるのは果たして男女か、男男か。また、若さへの嫉妬、成功に対する嫉みなど、様々な嫉妬がこの世には存在します。人間の感情の中で最も御し難いこのエモーションを、七つの全く違ったアングルから掘り下げていきたいと切望しています。その先に見えるものが果たしてあるのか、それとも無か。胸苦しくなるほどのインテンションとパフォーマンスで、普段皮膚1枚の下に隠してある嫉妬を舞台上では表現し尽くしたいと思っております。

ご来場を心よりお待ち申し上げております!

【日時】

2016年1月30日(土)  18:00開演(17:30開場)

【場所】

うはらホール

【チケット】

一般: 3,000円   学生: 1,000円

e+ (イープラス): http://would.jp  または

mail: 77deadlysins77@gmail.com(牧村) まで

マネジメント/お問い合わせ: KONTA Inc.

tel: 0797-23-5996

www.konta.co.jp

【アーティスト】

佐久間聡一(ヴァイオリン)
西本淳 (サックスフォン)
牧村英里子(ピアノ)

みなさまのご来場を心よりお待ち申し上げております!image

 

Photo and graphic: Taeko Kasama

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